女子マネージャーだけしかいない、部員0人の野球部!?
日々部員集めに奔走した女子マネの努力がみのり、翌年には念願だった県大会出場できるまでに復活した、長野県軽井沢高校の感動秘話!
部員不足で、最後の大会を辞退…。
2016年夏、長野県にある軽井沢高校は、野球部員が規定の9人に届かなく長野大会を辞退しました。。。
女子マネージャーの小宮山佑茉(ゆま)さんが軽井沢高校に入学した2015年当時は、野球部は助っ人を含めて8人が在籍していました。
そしてその夏の長野大会は、屋代南高校との連合チームを編成してなんとか県大会に出場しましたが、その後3年生が引退すると、選手は2年生1人だけとなり、翌年2016年に1年生1人が入部しましたが昨年のように連合チームを組むことができず、長野大会には出場することすらできませんでした。
そして残っていた部員も辞めてしまい、残ったのは女子マネージャーの小宮山佑茉(ゆま)さん、ただ1人になってしまったのです。。。
普通ならば高校生活を楽しみたいですし、選手すらいなくなってしまったら普通なら辞めてしまいそうですが、小宮山さんはなんと部員0人になっても野球部の復活を諦めていなかったのです!
「今、選手はいません」と訴え勧誘し続けた日々…
中学時代は「遊んだり、だらだらしたりするのが好きだった」という小宮山さんがですが、「厳しい環境に身を置いて、自分を変えたい。」と思うようになっていったそうです。
野球部にマネージャーとして入部した当時は、野球のルールもわからず、野球好きのおじいちゃんに聞いたり本を買ったりして勉強していました。
そして、たった1人になっても、
「単独チームで夏の大会出場」
「夏1勝」
という目標を掲げ、野球経験者の生徒には、「今、選手はいません。けれども、3年間続けて良かった。きっとそう思える部活です。どうか力をかしてください。」と小宮山さんの想いを綴った手紙を書いて渡したり、春から入ってくる新入生に向けの勧誘チラシの作成などを行ってきました。
そうしている間も部員がいつ集まってきてもいいよう、グラウンド整備や草むしり、雪かき、野球道具の整理、部室などの掃除をひとり黙々と続けていたそうです。
「たった1人でグラウンドに土を運んだり、まだ使う予定がないグランドの整備をやったりしていた時に、『本当に部員が入ってくれるかな』と思ったりしたこともありましたど、『絶対にやるぞ』と自分に言い聞かせていました。私って、結構負けず嫌いなんです」と、小宮山さんは当時を振り返っています。
届いた想い!そして、5年ぶりに県大会単独出場へ!
そんな小宮山さんの野球部復活への想いが通じ、春には1年生が8人、マネージャー2人が入部しました!
そしてその後、「帰宅部」の助っ人も1人も加わって、なんと軽井沢高校は5年ぶりに県大会の単独出場が実現したのです!
2016年、3年生になった小宮山さん。
5年ぶりの単独出場となったが、負ければ引退。
「単独チームで夏の大会出場」という目標は達成した。
そして残る目標は、「夏1勝」
小宮山さんの苦労と努力を知る選手たちは、口々にこう語っていました。
「いまこうして野球ができているのは佑茉先輩のおかげ」
「佑茉先輩にはとても感謝しています」
「夏1勝をして、佑茉先輩に恩返しがしたい」
そして、長野県大会1回戦
軽井沢高校は帰宅部を含む9人全員が1年生という選手層に対して、相手の長野東高校は春季北信予選ベスト4という強豪。
試合が始まる前から、圧倒的な実力差から「軽井沢高校に勝ち目はない」と見られていた試合でしたが、初回からその下馬評は大きく覆されるのでした!!
軽井沢高校の1回の表の攻撃。
2死一塁から、4番高橋選手がレフトスタンドへの先制2ランホームランを放ったのです!!
打った高橋選手が「まさか入るとは…」と振り返った先制弾に沸く軽井沢高校ベンチ!
このまま波に乗って大金星を掴み取るかにみえたが、そこは春ベスト4の強豪。徐々に力の差を見せつけられ、4回表終了後には軽井沢高校選手が過呼吸となり、治療を受けるため試合が37分中断するアクシデントもあり…。
終わってみれば8失策が響き
「2-14」の5回コールド敗け…。
2017年の軽井沢高校の短い夏が、ここに終わったのです。
選手からの隠された、恩返し弾
実は試合前に、ベンチにあったコールドスプレーには、小宮山さんからのこんなメッセージが書いてあったそうです。
「特大のホームランを期待しています!」
初回にホームランを打った高橋選手はこのメッセージを見つけ、試合前には小宮山さんを囲んで円陣を組まれていました。
「佑茉先輩のためにプレーするぞ!」
そう選手たちは声を掛け合い試合に臨み、高橋選手は見事なホームランを小宮山さんにプレゼントをしたのです!
試合後、高橋選手は、
「負けてしまったことは残念ですが、好投手から打てたことは素直にうれしいです。来年、再来年はもっと成長して佑茉先輩に勝つところを見せたい」と清々しい表情で語っていました。
そして小宮山さんも
「誰ひとり欠けてもこの場には立てなかった。感謝の思いでいっぱいです」
「3年間本当に楽しかった。これからの軽井沢高校野球部をつくっていくのは1年生たち。私もずっと応援しています」
「楽しかったこともあったと思うし、悔しかったこともあると思うけど、また来年、そして3年生になったときに強いチームになってください」
と涙ながらに語っていました。
でも、
「これはうれし涙です」
と、とびっきりの笑顔で球場を去っていった姿がとても印象的でした。
そして、今年も夏の大会には、軽井沢高校が帰ってきます。
甲子園を目指す球児たちの熱いドラマがまた始まります!
この記事を書きながら、また一段と高校野球が好きになった気がしますww
頑張れ球児たち!
青春って素晴らしいぞ(*˘︶˘*).。.:*♡